中性子スピンエコー分光器の整備・改良を進め、両親媒性分子を含む複雑液体での構造相転移とダイナミックスをX線および中性子小角散乱法と中性子スピンエコー法により調べた。主な成果は次ぎの通りである。 1.中性子スピンエコー分光器の整備 (1)本補助金による中性子スピンエコー用の高圧セルの整備により、高圧下における中性子スピンエコー実験を行うことが可能になった。 (2)スパイラルコイルの開発により、判定可能な散乱ビーム断面積が1桁増大させた。 (3)2次元位置敏感検出器の整備をさらに進めて、測定効率を向上させた。 2.上記の分光器を用いて中性子スピンエコー実験を行い、 (1)非イオン性界面活性剤を含むn-オクタン-水-C_<12>E_5系での双連結型マイクロエマルション等のダイナミックス、 (2)リン脂質DPPC-水系に塩化カルシウムを加えた系で脂質2重層膜の波状ゆらぎに関るダイナッミクス、 (3)非イオン性界面活性剤C_<16>E_7-水系の紐状ミセルの集団運動、 (4)イオン性界面活性剤AOT/水/n-デカン3元系での温度・圧力誘起構造相転移とダイナミックス等の構造の動的ゆらぎを測定し、これらのダイナミックスを支配する相互作用を明らかにした。 3.高圧下における中性子およびX線小角散乱法を用いて、イオン性界面活性剤AOT/水/油の三元系マイクロエマルションの圧力による構造相転移を明らかにした。
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