亀裂が進行する際に、後方で破断面が再癒着する場合について調べた。地殻の断層に沿って進行する地震による破壊などは、この様な状況に相当し、破壊はパルス状になって伝播してゆく。 連続体近似の下で、2次元弾性体中を進行するモードIII亀裂の場合については、以前に求めていたWiener-Hopf解を実空間に書き換えることによって、この様な状況に対応する解を書き下すことができた。 この解の性質を調べることによって、以下のことが分かった。 1. 連続体近似でストレスが発散しないために、亀裂先端部には分子間力の働く領域を仮定する必要があるが、再癒着点付近ではそのような領域が必要ない。 2. 再癒着しない時には亀裂の進展速度は散逸によって決まっていたが、再癒着のある場合には再癒着の条件が進展速度に大きな影響がある。 3. 再癒着までの全変位は、無限遠で外部から課した変位の程度となる。 4. 開放された弾性エネルギーは破断面を作るために必要な表面エネルギーに等しい。
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