研究概要 |
1. 量子力学的多チャンネル緊密結合プログラムを更に多くのチャンネルを扱えるように、また高速で計算できるように改良した。これと関連した断熱、透熱変換プログラムを始めとするサブプログラム群を充実させた。 2. 昨年度取り扱った系のうち(B^<3+>+Li)系が最も大きい衝突エネルギーで共鳴が観測されることがわかった。しかし更に実験しやすい系を捜すため、標的が励起状態にある場合に対して計算を行うことにした。標的が励起状態の場合、大きい核間距離で遷移が起こることが知られており、また1電子系の場合にはシュタルク効果のため核間距離が数百Aでも遷移が起こるため、方位量子数を識別した部分断面積を得ようとすると微分方程式を解かなければならない領域が非常に大きくなり、プログラムを改良する必要が生じた。我々が以前に電子捕獲過程への磁場効果の研究で開発したアイデアを用いて、事実上無限遠から緊密結合方程式を解くことのでさる方法を開発し、作成したプログラムをBe^<2+>、B^<3+>イオンと励起状態にあるH原子および(C^<6+>+He)衝突系に適用した。 3. 低エネルギーで起こるオービッティング、共鳴現象を解明するため、波束を用いて時間依存シュレーディンガー方程式を直接解く方法を開発し、(N^<5+>+He)衝突系に適用し、有意義な知見を得た。 4. Be^<4+>,N^<4+>+H,He,B^<q+>+H,He(q=2・5)およびBe^<q+>,B^<q+>+Li((q=2・5)という系に対し、低衝突エネルギー領域で断面積の計算を行い、どの系がより高い衝突エネルギーで共鳴現象が現れるか比較し予備的な計算を行った。
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