研究概要 |
本研究では衝撃など物理的破壊現象とその履歴が固体中の格子欠陥とルミネッセンス特性にどのように及ぶかを実験的に調べることを目的とした。特に衝撃銃、レーザーによる石英、斜長石などの衝撃実験および地震断層による破壊と加熱(アニーリング)の程度を ESR,陽電子消滅法およびルミネッセンスなどで調べたほか、花崗岩中の応力変化にともなう電磁気的応答も実験的に調べた。主な結果を記すと 1.衝撃実験では、衝撃によるアニーリング効果、衝撃後の対放射線欠陥生成効率の変化が明らかになり、また陽電子消滅法で衝撃破壊物質(石英)の分別ができることを示した。また自然衝撃物(砂岩)の陽電子消滅寿命を測定し人為的衝撃物と比較した。人為的衝撃(30-50GPa)した複数の斜長石(アルバイト)では、衝撃後電子線照射などでNa濃度が減少することが確認された。これをESRで調べると、放射線照射後にNaコロイドの信号が現れることがわかったまたEPMA分析でも衝撃後Naの濃度が減少していることがわかり、衝撃にともなってNaの遊離がおこったことが明らかとなった.さらに1-30 J・パルス幅 500ps のレーザーでカプセルに封じたγ線照射石英に金属薄板を介して衝撃を与えたとき,金属板は貫通しないにもかかわらず石英表面に損傷が形成され、同時にカプセル内で発光が観察された。この線発光はTLのスペクトルとほぼ一致した。 オーストラリア Wolfe Greek 隕石孔から抽出した格子の歪んだ石英試料のESRを調べたところ,、石英E'中心の温度アニーリングにおける300℃付近での濃度の一時的増大が高温側に明瞭にシフトしていることが見られた。 3.このほか、野島断層の地下389.4m地点の断層面における石英粒子の格子欠陥について調べた。
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