研究概要 |
2次元乱流の理論的および数値実験的研究: 2次元乱流のモデルであるCharney-長谷川-三間(CHM)方程式に特徴的な波数より大きな波数に局在したエネルギー注入項をもつCHM乱流の発達過程では逆カスケード過程によりエネルギーは波数の小さな方向に流れていく,逆カスケードの進行と共に渦度場が準格子構造を作ることを観測した.渦の合体により格子間隔は時間的に増大していく.渦度場の構造関数が動的スケーリング則を満たすことを導き,数値実験によりスケーリング則の存在を明らかにした.さらに乱流の減衰過程のある時間領域では近似的に全エネルギーが保存することを数値的に示し,渦度場のスペクトルに動的スケーリング則が存在することを現象論的に導き数値実験により確証した.2次元減衰性乱流の時間発展の第二段階では,秩序渦集団を特徴づける物理量が時間的にベキ的に変化する.NS系およびCHM系に対して,渦の個数の時間変化を決める指数をハミルトン力学系としての渦の移流による考察より現象論的に決定した.大自由度非線形力学系: 短波長モードが強い減衰を示すような非線形場のモデルを提案した.また,カオス素子が結合した,提案したモデルを含む3つの用いてその数値実験を行った.空間的な一様解(同期解)が系の大きさがある臨界値L_Cより小さいと安定であるが,大きいと不安定である.L_Cよりわずかに大きな系で間欠的なふるまいを発見し,統計特性の解析からオンオフ間欠性であることを見出した.さらに,オンオフ間欠性に関して次の新しい結果を得た:(1)オンオフ間欠性によって引き起こされる拡散現象を発見し,オンオフ拡散と名づけた,(2)オンオフ時系列のフーリエスペクトルに対する新しいスケーリング則の提案,(3)オンオフ間欠性が発生する直前での過渡現象の統計法則(緩和時間に関する統計法則).
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