本研究は、高密度キセノン(HPXe)電離箱を製作し、ガンマ線に対する波高、エネルギー分解能等の特性を研究すること、この結果から希ガス液体のエネルギー分解能決定の機構を明らかにするための手がかりを得ること、及び、HPXe電離箱の高温、高放射線の悪条件下でのガンマ線検出器としての性能を確認することを目的としている。このため昨年度は装置の設計、製作を行ない、測定のための回路系、温度制御システムを整備した。今年度は装置の改良を行い、さらに平行平板型の電箱の研究も目指すこととした。また、将来の水星探査計画、月探査計画のためのHPXe電離箱の提案も行ってきた。 埼玉県立衛生短期大学がH.11年3月に移転すること、研究分担者の長谷部が9月に愛媛大学から早稲田大学に移動したこと等のため、当面の研究拠点を早稲田大学に移動することにした。そのため真空排気装置とガス純化装置を埼玉県立衛生短期大学から早稲田大学に移動した。また高圧に耐えるよう電圧導入端子を改めて設計・製作した。本年度の予算は主としてセラミック製の高圧用の部品購入と長谷部(当時愛媛大学)の埼玉県立衛生短期大学への打ち合わせ旅費にあてた。また前値増幅器の性能のテストなど予備テストも行った。この増幅器は100pF程度の負荷をつけた状態での雑音が電子400相当以下であり、性能は満足なものであった。
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