研究概要 |
本研究は,現場観測に基づいて地震の遠隔トリガリング現象の実体を明らかにし,その発生メカニズムを解明することを目的とするものである.具体的には,岩手県西部の葛根田地熱地帯に,微小地震観測点を設け,約2年間にわたり高感度の連続観測を行うものである. 本年度は,主に,以下の4点を中心に進めた. (1)器財の整備:高精度の連続記録を得るために市販のデータロガーを購入,検定した.さらに,計算機上での波形データ処理システムの構築を行った. (2)観測点の選定:葛根田地熱地帯において新エネルギー・産業技術総合開発機構により実施されている高精度の孔内微小地震計の上下動1成分を記録することに決定した. (3)ソフトウェア開発:任意の発震機構により励起される表面波に伴う任意の地点での動的歪み波形を理論的に計算できるソフトウェアを開発した. (4)地震データの予備的解析:これまで葛根田地熱地帯で可視記録された波形データを詳細に調べ,葛根田地域で遠隔トリガリングされていると考えられる微小地震活動が少なくとも3例あることを明らかにし,また,葛根田地域が本研究のフィールドとして適地であることを確認した. 以上の通り,来年度早々に観測を開始する準備を終了した.
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