研究概要 |
東北大学理学部地震・噴火予知研究観測センターに保存されている地震波形記録から砕石発破の記録を選び出し、データファイルを作成した。期間は約4年分である。これら波形に反射法処理で用いられているNMO補正を行った後、観測点と震源(採石場)との中点がほぼ同じ位置である波形に分けて表示した。こうすることにより、観測点と震源との中点付近の中一下部地殻に反射面(構造の境界面)が存在するかどうかや面の深さを調べることができる。その結果、太平洋岸ではモホ面近傍、その西から火山フロントにかけては20〜30kmの深さ、火山フロントの西側では中部地殻に反射面が見出された。 東北地方の脊梁山脈の東側に比べると西側には採石場が少ないため、砕石発破の波形だけでは十分なデータが得られない。そこで、平成9年10月に東北日本を横断する釜石一岩城測線で爆破地震動観測実験が行われた際に、山形県北部に測線を設けて観測した。測線はほぼ南北方向で長さは約20km,観測点数は33点である。花巻(測線までの震央距離93-103km)、沢内(80-93km)、岩城(62-80km)の記録には、地殻中部の深さ15km付近で反射したと思われる明瞭な後続波がみられ、特に岩城の発破ではその震幅が初動の5倍以上にもなった。しかし、大曲(54-71km)の記録では後続波がみられなかった。側線の付近にある東北大学の観測点(鮭川、酒田、湯の台)の記録にも同様の特徴がみられた。初動震幅の大きさを解析した結果、秋田県南部の日本海沿岸では地殻上部で波が減衰し初動が小さくなり、そのために岩城から来る波の後続波が明瞭になっている可能性が考えられた。
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