研究概要 |
本研究では、兵庫県南部地震を引き起こした淡路島の野島断層を対象として、陸上と掘削した地殻深部のいろいろな深さにおける熱年代学的解析から活断層の運動による発熱現象の実証を目指している。昨年度までに得られたデータから、大学500mボーリングコア(Tagami et al.,1999)及び地質調査所(GSJ)ボーリングコアの両コアで、断層沿いにトラックの短縮、つまり何らかの熱影響が過去にあったことが分かった。そこで、平成11年度は、熱影響のあった時期を調べるために、ジルコン割粒法を用いたGSJコアの再測定を主として行った。その結果、従来の測定法による結果と同様、トラック短縮が認められたほとんどの試料について、そのトラック長分布は長いトラック(10〜11μm)と短いトラック(6〜7μm)にピークをもつバイモーダル分布を示した。断層中軸帯の試料については従来法による結果からあまり変化は見られなかったが、比較的低深度(200〜300m前後)については今回の測定で短いトラックが若干強調されていることが分かった。また、今回の測定でも前回と同様にFT長分布が断層中軸帯に対し非対称であった。やはり、トラックが温度上昇によって最も影響を受けた地点は断層中軸帯よりも深い地点であると考えられる。
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