研究概要 |
深海掘削計画(ODP)により掘削された孔で得られている孔内計測データベースを日本で作成し、データ解析のための基盤を構築することを目的とした。平成9年度はこの目的のために以下の研究を行った。 1)ODPで得られた熱流量データのコンパイルを行った。熱流量測定の行われた全てのレグについて、CD-ROMやODP本部から必要なデータ(温度・熱伝導率等)の収集を試み、これから統一基準を用いて熱流量値を再決定した。1997年12月のAmerican Geophysical Unionで成果の発表を行った。 2)ODPのコア試料について測定された熱伝導率・密度・間隙率データから、間隙水の影響を除いた個体部分の熱伝導率及び密度を求め、両者の関連について検討した。概して正の相関が見られ、これはスミアスライドなどによる鉱物組成から推定された結果とほぼ整合的である。ただし粘土鉱物の取り扱い方法に課題を残している。また熱伝導率と間隙率との関係を用いて、ロギングにより得られた間隙率からそこでの熱伝導率を推定した。これはコアが満足に得られない時に各種物性を推定する方法として有用であり、2年目も継続する予定である。 3)FMSデータ解析のためのソフトウエアGeoFrameのインストールを行った(東京大学海洋研究所)。 4)ODPロギングデータの収集およびデータベース日本版の作成に向けて、東海大学海洋学部と東京大学海洋研究所・ラモント地球科学研究所の間で協力体制作りを行った。 5)ODPLeg156,170,171で得られたロギングデータの解析を行い、間隙流体の移動のシグナルを捉えることに成功した。また得られた間隙率プロファイルが、逆断層の構造を見事に捉えており、これから付加体の形成発達史を論じた。
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