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1997 年度 実績報告書

高圧高温での地球深部物質の熱伝導率測定

研究課題

研究課題/領域番号 09640511
研究種目

基盤研究(C)

研究機関国立科学博物館

研究代表者

大迫 正弘  国立科学博物館, 理工学研究部, 室長 (60132693)

キーワードマントル物質 / 熱伝導率 / 熱拡散率 / 高圧
研究概要

地球深部に存在するとされる物質を実験研究の対象とし、高圧力下で物性測定を行おうとする場合には、試料の大きさが限られることによる難しさがある。熱伝導測定で本研究にて用いる方法によれば小さい円盤形状試料を用いパルス加熱により熱伝導率と熱拡散率を同時に高圧で測定できる。溶融石英およびザクロ石に続きカンラン石での実験により、試料の大きさを直径4mm、厚さ1mmにして圧力15GPaまで測定できる目途がついた。
地球の上部マントル第一の構成物質カンラン石の測定を高圧で行うのに先立ち、単結晶でもって常圧で3つの結晶軸方向の熱拡散率をオングストローム法で測り異方性を調べた。高圧での測定は最も熱伝導率の小さいb軸方向について行った。試料はパキスタン産のFoが94%の単結晶カンラン石である。八面体押装置により加圧を行い、常温にて6.6GPaまでの圧力で測定を行った。熱拡散率を常圧に外挿した値は、オングストローム法による測定値と一致した。熱伝導に及ぼす圧力の効果はザクロ石より大きく、5GPaにおいて熱拡散率では1GPaにつき6%で、焼結多結晶カンラン石の既知の値の約1.5倍であった。また同圧力で、熱伝導率では1GPaにつき5%で、単結晶での既知の値(273K、おそらくb軸に近い)とほぼ一致した。熱拡散率の圧力効果が単結晶のb軸方向と多結晶体とで異なることから、結晶軸方向によって熱伝導(拡散)率の圧力効果に違いがあると予想される。
これからの実験では高温の測定または熱伝導のより大きい物質の測定になる。温度記録信号のS/N比が悪くなるのは必定なので、試料の周りを工夫しこれを改善する共に、データ処理技術(繰返し試行の重ね合わせ等)によって有意義な結果を得るよう努めなければならない。また、今まで測定では幸い境界条件を満たしていたために良い結果を得たが、さらに熱伝導の高い試料に対して本方法がどこまで適用できるかを吟味する必要がある。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 大迫正弘: "Thermal diffusivity of olivine and garnet single crystals" Bulletin of the National Science Museum,Ser.E. 20巻. 1-7 (1997)

  • [文献書誌] 大迫正弘: "Simultaneous thermal diffusivity and thermal conductivity measurements of mantle materials up to 10 GP" The Review of High Pressure Science and Technology. 7巻(印刷中). (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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