研究課題/領域番号 |
09640516
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大島 慶一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (30185251)
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研究分担者 |
深町 康 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (20250508)
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キーワード | 海氷融解 / 結氷 / 熱収支 / マイクロ波放射計 / 南極海 / 季節海氷域 / 短波放射 / アイスアルベドフィールドバック |
研究概要 |
昨年度までは、代表的な季節海氷域である南極海を例にとって融解期における海氷・海洋結合システムを研究してきた。今までの研究から、夏季の南極では、大気から(主に短波放射によって)開氷面を通して入ってくる熱が非常に大きく、この熱によってほとんどの海氷融解が生じることが示され、その過程を適切に表した結合モデルを提出された。 本年度は海氷融解期の海氷のアノマリーが次に海氷結氷期へどう影響を与えるかを結合システムという観点から研究した。過去20年間のマイクロ波放射計による海氷密接度データから、融解最盛期である12月の海氷のアノマリーは次の結氷期である4・5月の海氷のアノマリーと極めて高い相関があることがわかった。12月は最も短波放射が大きい時期で、この時期の海氷の多寡は、海洋上層中に与えられる熱を大きく変えることになる。これが海に記憶されて、海氷が一度消滅した後、結氷期に反映されるために、融解期と結氷期の相関が高くなると考えられる。熱収支解析からも以上のシナリオがもっともらしいことが確かめられた。このような特徴は簡略な海洋・海氷結氷モデルでも表現することが可能である。また、12月と4・5月のアノマリーの相関は空間的に少しずれたところに最大が表れる。この差は、海流によって上層のアノマリーが移流されたと考えると説明がつき、この点からも海の上層の熱のアノマリーが結氷時期をコントロールしていることが示唆される。なお、融解期のアノマリーは次の結氷期に対し強い影響を与えるが、結氷期のアノマリーは次の融解期にほとんど影響を与えないことも解析から示唆された。
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