研究課題/領域番号 |
09640516
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
気象・海洋・陸水学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大島 慶一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (30185251)
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研究分担者 |
深町 康 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (20250508)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 海氷融解 / 熱収支 / 短波放射 / 海氷・海洋結合モデル / アイスアルベドフィードバック / 南極海 / マイクロ波放射計 / 海洋混合層 / ocean mixed layer |
研究概要 |
夏季南極海海氷域の熱収支から、大気からの熱のインプットはアルベドの違いから海氷面より開水面からのほうがずっと大きく、海氷融解は開水面からの熱が海氷を側面と底面から融かしていく過程が重要であることが定量的に確かめられた。海氷の融解が大気から開水面に入る熱によってのみで行われると成り立つ、(海氷融解率)=(開水面の割合)*(大気からの熱的外力)という単純な関係が、現実のデータ(マイクロ波放射計による海氷密接度データ)からも示唆された。 人工衛星による海氷データを用いて調べたところ、ほとんどの年で融解最盛期の12月と結氷期の4月における海氷密接度のアノマリーの空間分布はよく一致していた。12月は海氷分布の年々変動が最も大きい月でもあるので、この時期に大気から海洋上層中に与えられる熱は、年により大きく異なることになる。解析の結果、融解期における海氷の多少が、海洋上層へ与えられる熱の多寡を生み、それが海に記憶されて、海氷が一度消滅した後、結氷期にも反映されることが示唆された。 海氷の融解は開水面から海洋混合層に入った熱によってのみ起こるとする簡略な海氷・海洋結合モデルを提出した。モデルから、海氷密接度と混合層の水温との関係は、あるカーブに収束することが示され、昭和基地沖やロス海での観測をよく説明している。また、このモデルは南極の子午面方向の海氷後退をある程度説明しえ、第0近似的には海氷融解は1次元バランスで決まっていることも示唆される。さらにモデルを2次元に拡張し、風による移流の効果(力学効果)を組み入れると、「海氷を発散させる風が卓越し海氷密接度が減じると、開水面を通しての熱がますます増大し、さらに密接度が減じる」というアイスアルベドフィードバック効果が表現でき、この効果が年々の海氷後退の違いをもたらしていることが示唆された。
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