研究課題/領域番号 |
09640517
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
白岩 孝行 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (90235739)
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研究分担者 |
兒玉 裕二 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (70186708)
田中 教幸 北海道大学, 大学院地球環境科学研究所, 助教授 (10261348)
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キーワード | 雪氷コア / アリューシャン低気圧 / 古気候 / 気候変化 / カムチャッカ / ロシア |
研究概要 |
1998年6月にウシュコフスキー氷冠で掘削された212mの雪氷コアの化学・物理解析を開始した。また、クレーターに発達する氷河の熱・力学結合モデルを開発し、掘削されたコアの年代を推定した。 コアの酸素・水素同位体比解析によれば、これらの安定同位体比は1年に1〜数回のサイクルをもつことが判明した。しかし、これらのサイクルを決める気候的要因については不明である。一方、酸素・水素同位体比によって定義される過剰重水素は1年に1回のサイクルを持ち、冬季に重く、夏季に軽い。過剰重水素の値は、一般に水蒸気の起源における蒸発過程によって決定される。ウシュコフスキー氷冠に降る冬季降水の起源は北太平洋と推定されるので、冬季の過剰重水素の値は、アリューシャン低気圧活動の指標となることが期待されるが、分析が終了した年数が少ないため、両者の関係を定量的に提示する段階に至ってはいない。コアのpH,電気伝導度(EC)の解析結果は、両者が季節変動をすることを示している。pHは夏に酸性度が増し、ECは大きな値をとる。但し、これらについても現段階では分析数が少ないため、環境要素との因果関係はまだ不明である。氷冠の数値シミュレーションによれば、掘削された212mのコアは過去約500年間の年代を包含しており、当初予定した200年間という年代を大幅に上回る予定である。数値シミュレーションの結果は、コア中に介在する数層の年代既知の火山灰層によってほぼ妥当であることが確認された。 最終年度(平成11年)は分析数を増やすことを第一に進め、その後、気候要素とコアの各種シグナルの関係を定量的に求め、最終目標であるアリューシャン低気圧活動の復元を試みる予定である。
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