研究概要 |
1. Nd:YAGレーザーを用いた2波長(532nm,1064nm)ミー散乱ライダーを開発し、連続的な運用を可能にした。 2. 532nmを用いた窒素分子、水蒸気からのラマン散乱信号からエアロゾルによる消散係数、ライダー比S1(=消散係数/後方散乱係数)、混合比(相対値)を求めることが可能になった。 3. 2波長ライダーとスカイラジオメーターとの同時運用から、各波長における消散係数分布、平均的なSlを導くことができることを示した。 4. 黄砂エアロゾルの観測を中心とした対流圏エアロゾルの地上観測ネットワークを国立環境研などと共同で本研究初年度から立ち上げ、継続的な春季(3月〜5月)集中観測を軌道に載せることが出来た。この観測網により、黄砂の輸送機構・動態、光学的性質など、従来に比べ飛躍的にその詳細が明らかになりつつある。 5. ライダー用トランジェントレコーダー(Licel TR40-160,アナログ部:12ビット、4OMS/s、単一光子計測部:250MHz)を用いることで、従来の8ビットデジタルオシロスコープに比べ、格段にデータのS/N及び信頼度が向上した。このような測定器は1064nmでのレーリー・ミー散乱測定並びに偏光解消度測定に特に有効である。 6. 今後、1064nmの検出器として光電子増倍管から検出効率の高いアバランシュフォトダイオード(APD)に変え、1064nmでの偏光解消度測定を行い、エアロゾル粒子の偏光解消度の波長依存性を見ていきたい。
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