静止流体中の傾斜回転楕円体渦解を解析的に構成し、その線形安定性を調べた。一様ポテンシャル渦度領域の流れ関数はLaplace方程式を満足するため、回転楕円体座標系ではLegendre関数を用いて閉じた形に解が与えられる。具体的な計算はMapleV(電通大計算機センター)を援用して、電通大のワークステーション上にFORTRAN関数サブプログラムを開発して行った。傾斜回転楕円体渦は鉛直軸まわりに定常回転し、その回転角速度は傾斜角によらないことを示した。非常に細い長い極限では、この厳密解が昨年度に開発した線渦モデルに漸近することを確認した。定常回転解の線形不安定性をLegendre関数展開を用いて固有値問題に定式化し、不安定性増幅率を決定した。一般に扁長回転楕円体渦はアスペクト比が1に近いときや傾斜角が小さいときは安定であるのに対して、扁平回転楕円体渦は共鳴現象に起因する不安定性を被ることが分かった(宮嵜)。準地衡風近似のもとで楕円体渦を理想化し、渦領域間の相互作用を取り入れた乱流線渦モデルに、合体のルール導入し、初期に1000渦から出発する擬似乱流計算を実行した。その結果は、スペクトル法に基づく直接数値計算結果の統計的な性質を良く再現した。(宮嵜)。国立環境研究所のベクトル計算機(NEC-SX4)上に準地衡風乱流の直接数値計算プログラムを開発し、解析的に得られた楕円体渦領域の非線形発展を計算するとともに、減衰乱流の直接数値計算を実行し(256^3)、乱流渦モデルの評価を行った(花崎)。
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