研究課題/領域番号 |
09640526
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松野 健 長崎大学, 水産学部, 教授 (10209588)
|
研究分担者 |
鈴木 利一 長崎大学, 水産学部, 助教授 (20284713)
鈴木 款 静岡大学, 理学部, 教授 (30252159)
|
キーワード | 海底高濁度層 / 貫入 / 内部波 / 染料拡散実験 |
研究概要 |
1998年5月10〜13日(1回目調査)、同じく22〜26日(2回目調査)、さらに1998年11月7〜13日(3回目調査)に、東シナ海中央部の大陸棚縁辺部において、CTDによる水温・塩分および濁度の鉛直分布測定を行い、1、2回目調査では、それに加えて係留系による流速と水温の時間変化の測定を行い、また1回目調査では昨年度とは別の方法を用いて、染料の放出による拡散実験の試験を試みた。 1回目調査では、前年度の調査と同様、陸棚縁辺部の海底付近で観測される高濁度の水が、斜面域の中層部に貫入している様子が認められたが、約10日後の2回目調査ではあまり明瞭な貫入は認められなかった。両者の違いは成層構造の違いによるところが大きいと考えられる。1回目には顕著な躍層が陸棚端の海底付近に形成されていたのに対し、2回目では比較的緩やかな成層構造であった。係留系による観測では、内部湖汐や短いスケールの内部波が観測されたが、特に5月12日には顕著な内部波が起こっており、成層構造の変化も見られた。顕著な内部波が、乱流混合を引き起こし、それによって生じた密度場の変化が水平方向の流れを生み出すことが示唆されたが、それらを結びつける明瞭な証拠を得ることはできなかった。3回目の調査では、九州大学応用力学研究所の協力による曳航型のプロファイラーを用いて、陸棚端付近の詳細な海洋構造の把握につとめたが、高濁度水の貫入構造はあまり明瞭でなかった。 1回目調査で行った染料拡散実験では、前年度とは別の方式を採用し、船上からホースを用いて海面下60m付近に染料を放出した。CTDと蛍光光度計を上下させながら染料パッチの探索を数時間継続したが、明瞭な染料パッチをとらえられたのは2回のみで、染料拡散から乱流混合の強さを計測することはできなかった。染料の放出方式は前回に比較して簡単であり、今後の参考になると考えられるが、変動の大きい海域で短い時間スケールの拡散を評価する方法については、さらに検討する必要がある。
|