研究概要 |
エッジワース・カイパーベルト天体(EKOs)や彗星が残存微惑星である可能性を理論面から多角的に検討することが本研究の目的である.本研究では,1)エッジワース・カイパーベルト雲の構造の解明,および2)EKOsや関連小天体の物理的性質,特に力学的強度および氷微惑星としても物性の明確化に焦点を絞る. 今年度はEKOsの進化に関する研究成果を国際会議招待講演およびモノグラフ中の論文として発表した(「11.研究発表」の項参照).すなわち,EKOsの起源と考えられる粉体としての氷微惑星の熱史および力学的強度の進化に関する研究成果を国際天文学連合コロキウムおよびCOSPARにて招待講演として発表した.これらの論文は現在印刷中である. またエッジワース・カイパーベルト雲の構造に関して,昨年度のモデルをさらに発展させ,EKOs間およびEKOsと太陽系の周りの星間空間から太陽系内に流入してくる星間塵との衝突によって放出されるダスト量,およびこれによって形成されるダスト雲の観測可能性を精密に評価した.この結果は現在,論文にまとめつつある.研究成果はいくつかの国内/国際学会で発表済みである. 以上に加えて,太陽系形成の際に生き残り現在,炭素質隕石中に発見されているpresolar grainsの生成環境に関する研究を行なった.この結果は専門紙に発表済みである.また,木星の衛星Europaの内部に液体の水が存在すること示した.これは地球以外の天体における液体の水の存在を示す最初の研究である.結果は専門紙に投稿中である.
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