研究概要 |
CR1870の光球磁場視線成分とポテンシャルモデルとを用いてコロナ磁場の三次元構造を調べた。光球面上とソース面上の経度90°±30°,緯度0°±20°の限られた領域で,緯度,経度共に,1度毎に磁力線をトレースした。その結果,カリントン経度90°付近のコロナ中に,はっきりした平面磁場構造を発見した。光球上の複数の小領域から出た磁力管が,経度方向に広がり平面磁場構造を作るのが分った。コロナ平面磁場構造と太陽赤道面との傾斜角は,ソース面上で約30°であった。この傾斜角は,惑星間空間の同じ経度で発見された,惑星間平面磁場構造の傾斜角とほぼ同じであった。コロナ平面磁場構造は空間的に非常に大きいので,これが吹き出して惑星間平面磁場構造になるとは考えにくい。コロナ平面磁場構造の足元の光球に閉じた磁力線の活動領域のある事が分かった。もし捻じれている閉じた磁力線がコロナ平面磁場の開いた磁力線の足元付近から上昇すると,両者の磁力線の結合が起こり,磁力線の捻じれが開いた磁力線に沿って惑星間空間へと開放される可能性がある。同じ活動領域内の異なる部分から上昇した磁力線でも,コロナ平面磁場に沿って上昇し,ほぼ同じ経度から惑星間空間へと出て行く。そのため,コロナ平面磁場の寿命が長いと,同じ経度からコロナの物質が吹き出す回帰性の現象が観察されると考えられる。コロナ平面磁場の磁力管の断面は,コロナ底部では円形に近い形でも,ソース面に近づくにつれ平面状に広がるので,捻じれた磁力線の断面も平らになることが予想される。このような現象が活動領域の中で続けて起これば,多くの捻じれた磁力線が同じ経度から連続して惑星間空間へと出て行くであろう。この考えは人工衛生により観測された惑星間平面磁場構造の性質をうまく説明できる。
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