地球磁気圏尾部でのBursty Bulk Flowと抵抗MHD不安定性

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09640535
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 宇宙科学研究所
• 研究代表者: 星野 真弘 宇宙科学研究所, 企画情報解析センター, 助教授 (90241257)
• キーワード: 磁気リコネクション / MHDシミュレーション / ジオテイル衛星 / バル-ニング不安定

研究概要

磁気圏尾部で観測されるバースト的な高速プラズマ流現象と抵抗性MHD不安定性の関連を理解することを念頭に置き、大規模3次元MHDシミュレーションとジオテイル衛星データ解析を行っている。地球磁気圏尾部的な磁場形状では、従来の磁気リコネクションによるダイナミックなプラズマ・シートの展開に加えて、バル-ニング不安定と呼ばれる交換型の不安定モードも重要であることが知られている。この不安定性は、磁気リコネクションといくつかの点で性質が異なり、磁気リコネクションに比べて小さな空間スケールの現象であり線形発展においてはほとんど磁場のエネルギー開放を伴なわない。また本質的に3次元性を必要とする為、これまでバル-ニング不安定の非線型発展解はほとんど研究されていない。本研究では、磁気リコネクションとバル-ニング不安定の非線型競合過程をMHDシミュレーションで調べながら、ジオテイルのデータ解析を行い、バースト的な高速プラズマ現象の理解を深める。
本年度は3次元MHDシミュレーションコードの開発をおこない、プラズマ・シートの平衡解であるハリス・モデルに対して、典型的な磁気リコネクションの非線型発展が再現されることを検証した。引き続き地球磁気圏尾部的な磁場形状でのプラズマ・シートに対しての磁気リコネクションの非線型発展を調べる為、境界条件の開発を行なっている。また、バル-ニング不安定の線形理論解析を行い、将来の非線型計算に適当なプラズマ・パラメターの見積もりも始めた。
次年度は、引き続きシミュレーションの境界条件を考察し、本格的な大規模3次元MHDシミュレーションを行う予定である。

研究成果

• [文献書誌] M.Hoshino, et al.: "Ion Dynamics of Magnetic Reconnection in Magnetotail" Adv.Space Res.19. 1827-1835 (1997)
• [文献書誌] T.Terasawa, et al.: "Particle accleration at the interplanetary shock ahead of a large magnetic cloud on Oct.18,1995" Adv.Spacse Res.20. 641-664 (1997)
• [文献書誌] M.Hoshino, et al.: "Origin of Hot and High Speed Plasmas in Plasma Sheet;Plasma Acceleration and Heatings due to Slow Shocks" Adv.Spacse Res.20. 973-982 (1997)
• [文献書誌] M.Hoshino, et al.: "Ion Dynamics in Magnetic Reconnection:Comparison between Numerical Simulation and GEOTAIL Observations" J.Geophys.Res.(in press). (1997)
• [文献書誌] J.-N.Tu, et al.: "Geotail Observations of Ion Velocity Distributions with Multi-Beam Structures in the Post-Plasmoid Current Sheet" Geophys.Res.Letters.24. 2247-2250 (1997)
• [文献書誌] M.Hoshino: "Kinetis Ion Behavior in Magnetic Reconnection Region" AGU monograph,. (in press). (1997)