研究分担者 |
遅沢 壮一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40160866)
吉田 武義 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80004505)
蟹澤 聰史 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70005784)
越谷 信 岩手大学, 工学部, 助教授 (90205378)
川村 寿郎 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (60186145)
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研究概要 |
南部北上古陸やその他の日本列島を構成する異地性地塊の起源をさぐるために,南部北上古陸と他の異地性地塊との比較研究,古生代古生物地理および付加時のテクトニクスに関する研究をおこなった.南部北上古陸と黒瀬川古陸の岩相層序・古生物地理に関する比較研究から,中期古生代〜中生代の間,これらは同一のテクトニックセッティングの,近接した(同一の?)大陸縁辺域をなしていたと推定された また,飛騨外縁帯と南部北上古陸の古生代古生物地理は必ずしも同一ではなく,とくに中生代構造発達史はおおきく異なることが示された. アンモノイド群集の詳細な解析は未だ途上にある.サンゴ群集に関しての検討では,前期石炭紀の南部北上古陸は古テチスと古太平洋の連結海域にあった可能性が大きい.上部ペルム系鍋越山層の石灰岩は海綿類・コケ虫類・石灰微化石が多く,此の時代の汎世界的な造礁生物群集の内容と違わないこともわかった. 付加時のテクトニックセッティングに関する研究は,中部地方赤石山地の四万十帯を対象として行われた.付加体中に産する,陸源砕屑物の堆積場で活動したin situ玄武岩類およびチャートをともなう異地性緑色岩類について,微量成分をふくむ全岩化学組成をもとめた.in situ玄武岩類は,アルカリ玄武岩〜高アルカリソレアイト系列の玄武岩〜安山岩からなる.これらは初生的に高いLIL元素/HFS元素比をもち,MORB規格化パターン上でのNBの明瞭な負異常という,沈み込み帯火山岩の特徴を示すことがわかった.この白亜紀後期の火成活動は前弧海底隆起帯でのそれに似ている.異地性玄武岩類には,MORB型プレート内火山岩とともに,沈み込み帯型火山岩の特徴をしめす玄武岩も確認された.
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