研究概要 |
神戸市街地における兵庫県南部地震の著しい地表変状と反射法地震探査により分かった伏在活断層との関係を明らかにするために,地表変状の解析,地下レーダ(GSSI社のSIR2)およびハンドボーリングによる伏在活断層の浅部構造の調査を行った。本研究で明らかになった点および試みた点を以下に述べる。1.地表変状の解析:市街地の地表変状を定量的に表記すために,分布数が多く,かつ一定規格のライフライン(スリム型電柱,汚水桝,マンホール)の被害を解析し,著しい被害が地盤の違いによらず帯状分布することを明らかにした[構造地質,no.42,万国地質学会議論文集,no.5,地質学雑誌,vol.104,no.3,地質学論集,no.46]。2.地下レーダ探査:著しい被害の帯状分布地域下に伏在断層が存在するかどうかを調べるために地下レーダ探査を行った。まず「伏在断層が存在する」という答えの分かっている場所(神戸市東灘区住吉山手9丁目焼ケ原堰堤と住吉霊園)でテストを行ない,次に著しい被害の帯状分布地域(灘区)を調べた。探査は22測線(総延長:約4000m)で行い,時間断面の記録を深度断面に直すためにワイドアングル測定を行った。地表から5mないし7mまでの深度断面において,地層の不連続(ずれ,乱れ)や撓曲が見つかった。その不連続・撓曲の場所は反射法地震探査で見つかった深部の伏在断層の真上に当たり,断層運動の影響が地表付近まで及んでいることを,またその不連続・撓曲が五助橋断層の南西延長部に現れることを明らかにした[日本地質学会関西支部例会(1998.3.21),地球惑星科学関連学会合同大会(1998.5)で発表予定]3.ハンドボーリング調査:地下レーダイメージに現れた反射強度の異なるパターンと地質との関係を調べるために地下レーダ探査の測線に沿ってハンドボーリングを行った。2.5mの深さまで反射強度と地層との対応は明らかにできたが,今後さらに深さ2.5-7mまでの対応関係を調べるには別のボーリング機械を使用する必要がある。
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