研究概要 |
四国東部に分布する秩父累帯南帯の砂岩・頁岩,四国西部の白亜系四万十帯の砂岩,四国中央部の汗見川周辺に分布する三波川変成帯別子ユニット中の砂質・泥質片岩の化学分析を行った.それらの一部についてはまだ解析が充分に進んでいないが,以下の点が明らかになった. 1. 化学組成に基づき,四国東部の白亜系四万十帯頁岩は,2つに区分される.一つは,年代的により古く,高いFe_20_3・TiO_2・MgO含有量で特徴づけられる.また,もう一つは年代的に若く,高いSiO_2含有量で特徴づけられる.両者の境界は ほぼチューロニアンからコニアシアンであり,砂岩化学組成に認められる組成境界と一致する. 2. 四国西部の白亜系四万十帯砂岩は,SiO_2やMgO,Srなどの含有量に基づき,年代を異にする2つのグループに区分される.過去に分析を行った四国東部の白亜系四万十帯砂岩と今回分析した四国西部の砂岩とを比較すると,四国東部と西部の砂岩化学組成は基本的な特徴が類似しているが,西部では東部ほど組成のバリエーションが大きくない.西部において,ほぼチューロニアンからコノアシアンを境にして組成が変わる点は東部と一致する. 3. 秩父累帯南帯の砂岩は,若いグループの白亜系四万十帯砂岩と組成的に類似しているが,Nb/Ti・Zr/Ti図を用いることによって両者の識別が可能である. 4. 汗見川周辺の別子ユニットに含まれる砂質片岩の多くは,Nb/Ti-Zr/Ti図に基づけば,四万十帯の砂岩と組成的に類似しており,その源岩の多くが四万十帯起源である可能性が高い. しかし,広く分布する泥質岩からの検討がさらに必要である.
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