研究概要 |
1.目的 降下堆積する火山灰の粒子は,噴出源から遠方に離れるにつれ細粒となると共に,火山灰層としての厚さも薄くなり,ついには火山灰粒子が層をなさず,土壌,氷,その他の堆積物中に拡散した状態となる.これらが識別できれば様々な堆積物の火山灰に基づく年代決定の機会は飛躍的に増大する.本研究では当面技術的に可能な100〜10ミクロンの粒子を対象とし,火山灰粒子毎の元素組成を、ICP-MS,EPMA,放射化分析を通して,一粒一粒の粒子に対してその化学組成を主とする特性を把握する. 2.基礎データの収集と分析 当面,日本とその周辺に分布する火山灰層について,火山ガラスの主成分,微量成分元素組成を基礎データとして収集する必要があるため,雲仙普賢岳1993年火砕流堆積物の各流下単位,富士火山のボーリングで得られた新富士,古富士の噴出物,榛名火山の噴出物,渡島大島火山のテフラ等を採取し,常法により測定を進めつつある. 3.火山灰分析の手法上の検討 申請者らがこれまでに扱ってきた各地の姶良AT火山灰,日本及び中国の湖底コア試料,北海道・関東の泥炭地のコア試料,南極の氷床コア中の黒色・白色個体粒子試料を対象として,火山灰の抽出方法,粒径と形態の観察法,EPMA,ICP-MS,放射化分析のための試料調整法等の基礎的な検討を行った.さらに,一部試料については分析を完了した.
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