研究概要 |
平成10年度は,アルタイ山地西部のザスーリン相当層の珪質岩からカンブリア紀後期の放散虫,コノドントを新たに得ることができ,また,北部アルタイのシャシクナール層の模式地のみならず,さらに北方地域の同層からも珪質岩サンプルを得ることが出来たので,一昨年に北部アルタイ山地および南部アルタイ山のザスーリン層から得られた化石群集との比較検討をすすめている。シャシクナール層の模式地の珪質泥岩からは極めて保存のよい放散虫化石および珪質海綿骨針化石群集,ニノドント様化石を回収しており,シャシクナール層の分布,地質構造,地質および堆積環境を含め予察的微古生物学的研究結果について,RussianGeology&Geophysicsに論文を投稿し既に受理されている。これら微化石の抽出と観察,詳細な検討については目下大学院生とともに検討を行っている。特に,シャシクナール層の放散虫化石は世界で最古の真正放散虫化石の新しい種属である可能性が濃厚である。さらに,シャシクナール層からはこれまで報告の知られていない珪質海綿の種属が多数得られ,申請者が以前ハカーシア自治州のカンブリア紀前期の地層から見い出した類似の化石群集との比較検討を行っている。さらに,ハカーシア自治州のカンブリア紀最前期のソルニン層やマルトイヒン層から新たに得られた球状微化石についても微古生物学的検討を開始しつつある。
|