研究概要 |
平成11年度は重点的にアルタイ山地のシャシクナール層の全分布地域、チャリシュ川セクションのザスーリン層の野外調査をおこない珪質岩のサンプリングを実施した。また、赤色チャートが卓越しカンブリア紀前期と考えられるチェマール層、カンブリア紀中期のウスチセマ層の調査、サンプリングも行った。さらに、これまでは全く調査していなかったサライル山地のカンブリア紀層についても予察的調査、サンプリングを行った。さらに、以前の調査でシャシクナール層と類似の海綿骨針化石を産出したカンブリア紀前期の地層の珪質岩のサンプルの再採集をロシア科学アカデミーの共同研究者に依頼した。本年度は室内研究としてカンブリア紀前期のシャシクナール層の放散虫化石の分類記載的研究をおこない、併せて同層の海綿化石の予察的検討結果を論文として公表することを課題とした。その結果、シャシクナール層の放散虫化石について2つの新属、3つの新種を認め、論文を投稿し受理された(Russian Geology & Geophysics,special vol.)。また、シャシクナール層の柱状対比、層相変化の解析、含まれる大型、ミクロの化石などについての総括的論文についても投稿、受理されている。シャシクナール、ザスーリン層などアルタイ山地のカンブリア系のジオダイナミック・セッティング、古地磁気学的検討結果などについても北大学術シンポで講演をおこなうとともに論文化し、また、近くロシア国内で催される2シンポジウムに報告予定である。本年度採集したサンプルについては目下、大学院生とともに微化石の抽出を進めているところであるが、放散虫のみならず、海綿骨針化石の中にもこれまで報告されたことのない新たな化石種も含まれているようであり、生層位学的検討も行っている。
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