研究概要 |
本年度はアルタイ山地のカトーン川中流および上流地域のザスーリン層、シャシクナール層について補足的な野外調査と珪質堆積岩のサンプリングを行い、また、これらの地層に相当する層準と考えられる他の地層についても野外調査、珪質堆積岩のサンプリングを行ない化学薬品処理によって放散虫化石の抽出に努めた。またバテーネフ山地のブリズナヤ地域の下部カンブリア系の珪質岩に含まれる珪質海綿骨針化石の抽出と観察、同定をおこなった。この結果、シャシクナール層の珪質頁岩からこれまでに少なくとも4つの新たな種属と思われる放散虫化石を見い出し、記載・分類を行い研究結果の一部についてRussian Geology & Geophysics誌に投稿した。また、アルタイおよびバテーネフ山地のカンブリア紀前期-後期およびオルドビス紀早期の放散虫化石群集、前期カンブリア紀海綿骨針化石群集に関するこれまでの研究成果について9月17日-22日に米国、カリフォルニア州ブレアスデンで開かれた第9回国際放散虫シンプジウムにて3編の論文発表をおこなった。また,オーストラリアや中国などのデータを含めカンブリア紀における放散虫化石の層位的分布を整理検討し、暫定な化石帯区分表を作成した。また放散虫類の初期進化のプロセスについての検討も行った。さらにカンブリア紀前期-後期の珪質海綿骨針化石の暫定的な化石帯区分表も作した。最後に本年度は研究の最終年度であるのでこれまで4年間の研究結果の総括と研究実績報告書の作成を行った。
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