研究概要 |
本年度までに,下部更新統大桑層の広範囲な分布が知られる石川県金沢市東部〜北東部地域(浅野川以東)いついて,5,000分の1地形図にもとづく地質調査をほぼ終了した. その結果,同地域に分布する大桑層を,青灰色〜暗灰色砂質泥岩・泥質砂岩が卓越し凝灰岩の多数挟在する下部,青灰色細粒砂岩からなり具化石層ならびに凝灰岩が挟在する中部,そして塊状黄褐色細粒砂岩から構成される上部に岩相上3区分するとともに,同層下部に挟在し鍵層としての有効性のとくに高い凝灰岩を,下位よりOL1凝灰岩,OLG凝灰岩,OL2a凝灰岩,OL2b凝灰岩およびOL3凝灰岩,同じく中部に挟在する凝灰岩を下位よりOM1凝灰岩,OM2凝灰岩およびOM3凝灰岩とそれぞれ命名した. そして,これらの凝灰岩鍵層の野外における精密な追跡結果にもとづき,同地域の大桑層の分布や岩相変化の詳細を明らかにし,同地域内では同層が水平方向への岩相・堆積相の変化に乏しいことや,北東-南西方向あるいは北西-南東方向に褶曲軸をもつ緩やかな背斜・向斜構造を呈すること,そして同層が上位の下〜上部更新統卯辰山層と整合関係にあることなどを明らかにした. さらに,下位の中新統高窪層とはおそらく緩やかな傾斜不整合関係にあることが判明しつつある. これに加えて,同地域の大桑層からの有孔虫・石灰質ナンノプランクトンなどの微化石の多産を確認し,今後予定する微化石層位学的研究の対象となりうることや,同層相当層の分布する富山県小矢部市周辺での予察的地質調査の結果から金沢市東部〜北東部地域での大桑層の岩相層序が小矢部市地域にも適用できる可能性を確認した.
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