現生爬虫類の中で、鋸歯が最も発達しているオオトカゲ類の中から、ナイルオオトカゲVaranus.niloticusを例に、歯と鋸歯の形態の一個体の顎の各部位での変異、歯の世代交代における変異をモルフォメトリックス的に画像と計測値で記録し、変異とその統計学的有意性を検定した。キ-エンス社製ポ-タブル・デジタルマイクロスコープVH-6300(本補助金で購入)を用い、個々の歯を25〜175倍のデジタル画像として記録し、計測、そのデータをモルフォメトリクスのコンピューターソフトを使用し分析した。これまで、爬虫類の歯は、変異が極めて少ないといわれてきた。そこで、変異は存在しないという帰無仮説のもと検定を行った。その結果、歯冠のサイズ、側面・咬合面観の輪郭的形態、鋸歯のサイズ、形態、いずれも有意差が認められる予備的結論を得た。次年度は、標本数を増やし、検定の結論を得るとともに、定性・定量的な変異の記載を行う。平成10年1月に、モルフォメトリックスの第一人者であるアメリカ自然史博物館のLes Marcus教授を7日間招聘し、モデル化に際しての数学、統計学、コンピューターグラフィックスの専門的知識の提供を受けるとともに、研究のレビューを受けた。
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