研究概要 |
本研究では炭素質コンドライト隕石に記憶されている原始太陽系星雲内での反応過程の詳細を構成物質の観察及び分析データから明らかにしていくことが目的であった.実際の研究では始原とされる炭素質コンドライトのうち特にCVグループに属するいくつかの試料を選び,それらを構成する物質(コンドルール,難揮発性包有物等)の産状の記載,構成鉱物の組織の観察,化学組成の分析を行った.分析に当たってはX線マイクロアナライザーを用いたが,本科学研究費で購入した標準試料を使用した.特に以下の点が明らかになった. (1)いくつかの難揮発性包有物からは著しくチタンに富む特異な鉱物が発見された.これは原始太陽系初期の凝縮により形成された難揮発性鉱物の一つであることが始めて明らかになった. (2)CVコンドライトの主要構成物質であるコンドルールの研究からは,カルシウムとアルカリ金属元素の交換反応や,鉄の導入反応がどのCVコンドライトでも起こっていることが明らかになった.これは従来からのわれわれの主張が普遍であることを裏づけることとなった. 以上の研究に当たって,得られた鉱物組成・記載データは本科学研究費で購入したパーソナルコンピューターにより解析,処理した.また特に上記の第二点については国際隕石学会で発表したが,その旅費は本科学研究費より支出した.
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