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1998 年度 実績報告書

地殻上部におけるマグマの蓄積・移動に関する岩石学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09640565
研究機関東京大学

研究代表者

中田 節也  東京大学, 地震研究所, 助教授 (60128056)

キーワードマグマ溜まり / 脱ガス / 結晶度 / 噴火パルス / マグマ上昇 / 結晶マッシュ
研究概要

本研究ではマグマの蓄積・移動過程の中で,マグマ溜まり滞在時と火道上昇時におけるマグマ過程に焦点を絞った.
斑状火山岩類はしばしば結晶粒間にガラスを挟むことなく複雑に密着した集斑晶を含む.また,単独で出現する斑晶にあっても集斑晶の分離したものであると考えられる.このような集斑晶は,(1)マグマ溜まり縁の結晶マッシュ中で成長や集積した物,あるいは,(2)マグマ溜まりの壁で部分溶融をおこしていた母岩(深成岩)の融け残りであると考えられる.普賢岳デイサイト溶岩はそのような斑状火山岩の例である.同位体比を含む化学組成や組織から考えて,(2)のモデルが手提案された.
マグマが火道をゆっくり上昇する際に,脱ガスの進行と同時に減圧による結晶作用が進行する.気泡でスポンジ状になったマグマから,脱ガスが外部に向かって効果的に生じると予想される.脱ガスと結晶作用によってマグマの見かけの粘性が急増することが期待される.最近の実験岩石学の結果は,水に飽和したマグマが上昇する場合に,その速度が遅いほど結晶作用がより完全に起こることを示している.このため,速度が遅くなるほどマグマの見かけの粘性が上がり,ついには,高粘性マグマが火道中で動けなくなり,自ら火道上部に栓をしてしまうと予想される.しかし,栓が完全であればあるほど,栓の下のマグマの結晶作用進行によって,マグマの過剰圧が高まり,栓溶岩が破壊されてしまう.雲仙普賢岳1991〜1995年噴火では,噴出活動に複数のパスルが認められたが,これはそのような現象を反映したものであると判断される.岩石学的に検出される結晶作用の進行具合はこれらの推測を支持する.

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Nakada,S.et al.: "Overview of 1990-1995 eruptions at Unzen Volcano." Journal of Volcanology and Geothermal Reseatch.89(印刷中). (1999)

  • [文献書誌] T.Fujii and S.Nakada: "The 15-September 1991 pyroclastic flows at Unzen Volcano (Japan) : a flowing model." Journal of Volcanology and Geothermal Research.89(印刷中). (1999)

  • [文献書誌] Nakada,S and Y.Motomura: "Petrology of the 1991-95 eruption at Unzen : effusion pulsation and groundmass crystallization." Journal of Volcanology and Geothermal Reseatch.89(印刷中). (1999)

  • [文献書誌] H.Sato,S.Nakada,et al.: "Groundmass pargasite in the 1991-1995 dacite of Unzen volcano : phase stability experiments and volcanological implications." Journal of Volcanology and Geothermal Reseatch.89(印刷中). (1999)

  • [文献書誌] Kusakabe,M.et al.: "Water contents and hydrogen isotopic ratios of rocks and minerals from the 1991 eruption of Unzen volcano,Japan." Journal of Volcanology and Geothermal Reseatch.89(印刷中). (1999)

  • [文献書誌] Chen,C.H.et al.: "The Sr,Nd and O isotopic studies of the 1991-1995 eruption at Unzen,Japan." Journal of Volcanology and Geothermal Reseatch.(1999)

  • [文献書誌] 中田節也(分担執筆): "兼岡一郎・井田喜明編 火山とマグマ" 東京大学出版会, 158-178,25-46 (1997)

  • [文献書誌] 中田節也: "「マグマと地球」4年間続いた雲仙火山の噴火" 第12回「大学と科学」公開シンポジウム組織委員会編, 120-130 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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