1.キュービック型700トン超高圧発生装置の立ち上げを行った。GeO2の高圧下での融解実験では高温領域でGeO2の還元を抑えるための高圧セルの開発が重要である。試行錯誤の結果、LaCrO3の筒型ヒーターを導入することで3GPa、1900℃でGeO2を還元されることなく融解することに成功した。実験圧力領域をさらに広げ、融解曲線を決定することが今後の課題である。 2.LiO2-GeO2系ガラスを結晶化が起こらない室温から400℃の温度範囲で最高30GPaまで加圧し高密度非晶質相の合成を試みた。得られた試料の密度測定とEXAFS測定により非晶質相の局所構造を解析した。その結果、Li2O-GeO2系ガラスでは30GPaで加圧しても回収試料は10%程度の密度上昇しか得られないことがわかった。この値は圧力誘起非晶質相が40%の密度増を示すのに対し小さい。EXAFSの解析により第一近接のGe-O間距離は約1.77Aでこれはほとんど全てのGeに対してOが4配位していることを示す。今回実験を行った圧力条件下では配位数が4から6に変化しているはずだから減圧過程で配位数が可逆的に4に戻ったと考えられる。高圧下で局所構造の変化が起こった際にその構造が減圧しても非可逆的に保たれるか否かは、配位数変化により生じたGeO6八面体が形成するルチル構造的なドメインのサイズによると考えられる。圧力誘起非晶質相のTEM観察では直径10数Aのルチル構造を示すドメインが観察されている。一方、Li20-GeO2系ガラスでは添加されたLiイオンによりGeO6八面体のネットワークが分断されるため、ルチル構造ドメインサイズが圧力誘起非晶質相のそれに比べ小さく、減圧過程で可逆的に配位数が4に戻ったと考えられる。現時点では高圧処理後の回収試料についてEXAFSを測定したが、次年度では高圧下でのその場観察を予定している。
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