研究概要 |
1.斜方輝石と菫青石の間のFeとMgの交換反応が温度に大きく依存する事を1気圧のもとで,1000℃から1325℃までの温度条件の実験で明らかにした.これにより,この反応が地質温度計として使える事を示した. 2.パイロープ・ガ-ネット(Mg_3Al_2Si_3O_<12>)の組成を持つ系の相関係を1気圧のもとで調べた.カンラン石+菫青石+スピネルの鉱物組み合わせが1025℃以上でエンスタタイト+菫青石+スピネルの鉱物組み合わせが1000℃以下で安定である事を示した. 3.酸素分圧を制御して,カンラン石と単斜輝石との間のFeとMgの交換反応を1気圧から10キロバ-ルまでの圧力のもとで1150℃の温度条件で,系のCa量を変化させて調べた.これにより,この反応は系のCa量に大きく依存し,Ca量が増加すると分配係数K_D[=(X^<Cpx>_<Mg>X^<Ol>_<Fe>)/(X^<Cpx>_<Fe>X^<Ol>_<Mg>)]が増大することが分かった.また,この反応の圧力依存性はあまり大きくないことが分かった.ところが,Caに富むカンラン石とCaに乏しいカンラン石の間のソルバスは,圧力に大きく依存する事が分かった.この実験事実を説明するために,Ca-Fe-Mgカンラン石を無秩序多席固溶体とし,単斜輝石を正則溶液とする熱力学的定式化を行った.
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