研究概要 |
四国中央部の新居浜市および西条市周辺の三波川変成岩類の地質調査を行ない,精密な地質図を作成した。各地点において,泥質片岩・塩基性片岩・石灰質片岩の分析用サンプルを採取し,岩石薄片を作成した。調査地域全域の系統的な岩石記載を行ない,鉱物共生関係および変形組織を記載した。また,備品として購入した顕微鏡用冷却・加熱装置における挙動・データ録画装置および既存の顕微鏡用冷却・加熱装置を用いて,流体包有物の充填温度および凍結・解凍温度を測定するシステムを組み立てた。また,代表的なサンプルを用いて各温度の測定を行なった。以上の研究の結果,本年度は以下の点が明らかになった。 (1)調査地域の三波川変成岩類は大きく北部ユニットと南部ユニットに区分される。 (2)泥質岩の鉱物組合せに基づくと,中央構造線沿いの地域に,かなり広い範囲で灰曹長石-黒雲母帯が分布する。 (3)(2)の灰曹長石-黒雲母帯は,汗見川や別子地域のものと比較して,粒径・組織・変成史の点で大きく異なっている。
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