研究概要 |
平成9年度に引き続き,四国中央部新居浜市,西条市および土居田周辺の三波川変成岩類の地質調査を行ない,1/5,000精密地質図を作製した。各採取試料の岩石薄片を作成し,偏光顕微鏡で記載した。記載した岩石薄片は約600枚である。そのうち,50個の試料を選び出し,全岩化学組織および安定同位体組成分析のために粉砕した。このうち,10個の沼質片岩および42個の石灰質片岩の酸素同位体66(一部、炭素同位体66も含む)を,オーストリア・モナシュ大学の分析システムを使用して,測定した。また,付加体全体を検討するため,北部秩父帯の検討も行なった。 以上の研究の結果,本年度は以下の点が明らかになった。 (1) 地質調査を行なった四国中央部西条市〜土居町周辺の三波川変成岩類は、原岩を詳細に検討することによって,従来よりも極めて正確で精密な地質図が作られた。 (2) 本調査地域の三波川変成岩類は,沈み込み帯の比較的浅部(<10km)で形成された後,深部(>20km)へ運び込まれた。 (3) 予察的な安定同位体比測定の結果,付加体はより深部ほど,外来の流体により同位体変質を受けていることが明らかになった。
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