• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1999 年度 実績報告書

沈み込み帯におけるシステム・ダイナミクス

研究課題

研究課題/領域番号 09640572
研究機関愛媛大学

研究代表者

榊原 正幸  愛媛大学, 理学部, 助教授 (80202084)

キーワードサブダクション / 流体 / 付加プリズム / 物質移動 / 酸素同位体 / 順序外スラスト / 深部付加体 / 浅部付加体
研究概要

海洋プレートのサブダクションは,地球表層の水圏の流体が深海から地殻およびマントルへ循環するための主要なプロセスである.海洋地殻もしくはその上位の堆積物中の間隙水および含水鉱物としてトラップされた流体は,そのほとんどが沈み込みプロセスの初期に放出される.放出された流体の多くは付加プリズムを通り抜け,付加体に対して物理的および化学的影響を与えている.
本研究プロジェクトは,付加体を通過する流体による物質の移動の実態をリアルに捉えることに成功した。その要点は,付加体地質学の観点から以下のようにまとめられる.
(1)10km以浅(ブドウ石-パンペリ-石相より低圧側)のオフスクレーピングによって形成された付加体では,流体による酸素同位体変質はほとんど受けていない.
(2)約10-15kmでアンダープレートした付加体では,深部から上昇してきた流体が,順序外スラストに沿った多数の剪断帯を通路として,その周辺の岩石に物質移動(主要元素,微量元素および酸素同位体比の変質)を引き起こしている.その際の露頭規模での流体の通路は,著しく剪断された塩基性岩や断層破砕帯である.
(3)深部付加体では,脱水作用によって放出された流体は,各岩相境界を通路として付加体内部を通過し,酸素同位体変質を広域的に引き起こしている.
(4)付加体をその深度に応じて,便宜的に,浅部(<10km),中部(10-15km)および深部(>15km)に区分する。それぞれの構成岩石の酸素同位体比は,泥質岩および塩基性岩では中部においても最も高くなるのに対し,石灰質岩では浅部から深部へと次第に低くなる.
(5)付加体内部を通過した流体は,周辺の岩石に酸素同位体変質を引き起こしているが,同位体的には非平衡である.ただし,同位体変質の領域は,浅部付加体では極めて狭く,深部では地質図オーダーに及ぶ場合もある.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 梅木美妙、榊原正幸: "四国西部肱川地域の秩父帯北帯における含黒雲母塩基性準片岩"岩鉱. 93・8. 291-306 (1988)

  • [文献書誌] 梅木美妙、榊原正幸: "四国西部肱川地域の北部秩父帯の地質および塩基性岩の岩石学的検討"地質学雑誌. 104・9. 590-603 (1998)

  • [文献書誌] 榊原正幸、大山ゆかり、梅木美妙、榊原光、正野英憲、後藤真一: "四国西部における北部秩父帯の地体構造区分と広域変成作用"地質学雑誌. 104・9. 604-622 (1998)

  • [文献書誌] 松岡篤、山北聡、榊原正幸、久田健一郎: "付加体地質の観点に立った秩父累帯のユニット区分と四国西部の地質"地質学雑誌. 104・9. 634-653 (1998)

URL: 

公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi