研究概要 |
増設した電気炉及び電子天秤を用いて、ZnS-FeS-GaS系及びZn-Fe-Ga-S系内部の乾式法による合成相平衡実験を900℃及び800℃で行い、Zn-Ga-Fe-Stetrahedronを900℃、800℃の両温度で明らかにしてみた。 Zn-Ga-Fe-S系中心部には、大きな薄い(Zn,Ga,Fe)_<1-X>S固溶体が存在している。この固溶体は、閃亜鉛鉱型構造の部分とウルツ鉱型構造の部分と両者の混合する部分とに分かれているが、閃亜鉛鉱型→ウルツ鉱型の相転移温度が組成により変わることからこの現象が起こることが判っている(Ueno,Scott&Kojima,1996)。Zn-Ga-S系の固溶体であるPhaseVは、tetrahedron内部に固溶体領域がのびており、Feの最大固溶量は900℃では12.5at.%,800℃では11.9at.%となっている。Phase UはFeをほとんど固溶しないため、Zn-Ga-S系内の固溶体である。Ga-Fe-S系の固溶体であるPhaseZは閃亜鉛鉱型構造をもつが、tetrahedron内部には固溶体を持たず、従って(Zn,Ga,Fe)_<1-X>S固溶体とは別の相であることが判明した。他のPhaseX,PhaseWは若干Znを固溶し、又Ga_2S_3もFeとZnを若干固溶するため、これらはtetrahedron内部に、それぞれ小さい固溶体領域を持っている。 これらの実験結果は、1998年2月の地質学会西日本支部例会で一部発表し、又、1998年8月にカナダのトロント大学で開かれる国際鉱物学会(IMA′98Toronto)で全体像を発表する予定となっている。
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