研究概要 |
電子分光型電子顕微鏡による鉱物の状態分析を行うために以下の基礎的な実験を行った.使用した電顕は九州大学超高圧電顕室に設置されているJEOLJEM2010FEFである. 1.電子線エネルギー損失分光法(EELS:electron Energy loss spectroscopy)の基礎検討 2.電子分光結像法(ESI:electron spectroscopic imaging)の確立 (2-1)ゼロロス像 (2-2)コアロス像 結果 (a)CVD法で合成した微細な炭素物質(ダイヤモンド,グラファイト)の状態分析 オメガフィルターを装着したJEM2010FEFと通常のパラレルEELSで得られる炭素K吸収端近傍のスペクトルの比較を行った.その結果,両者のスペクトルの分解能等に違いは認められず,JEM2010FEFで良好な炭素K吸収端スペクトルが得られることがわかった. (b)珪酸塩ガラス中の微小析出物の解明 辰砂釉と呼ばれる陶磁器釉薬の発色原因を探るために粉末法で試料作成し分析を行った.粒子中に回折コントラストから微小析出物の存在を確認でき,EDS法から銅にとむ組成が得られた.しかし,ガラス中に存在するためか,CuL吸収端のスペクトルは明瞭なものを得ることができなかった.また,粉末法で作成した比較的厚い試料中に存在する析出物の明視野像観察においてゼロロス像は有効であった.
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