深成岩は地殻深部で形成されるために、冷えるまでに長い期間を要し、年代測定によって形成年代を地質年代の一時点に決めることは難しくむしろ、岩体がどのように冷え固まったといういわゆる「冷却史」が主たる研究目的となる。本研究室では、丹沢や甲府の深成岩に対して、K-Ar法および^<40>Ar-^<39>Ar法で研究して来たが、角閃石の年代が黒雲母の年代より古いという教科書的な結果は必ずしも得られていない。 本研究では、山形・新潟県境に分布する朝日深成岩体を研究対象とした。山形県内の地域を中心に試料を採取し、年代測定試料として黒雲母と角閃石を分離した。現在までに黒雲母と角閃石のK-Ar年代測定を一部行ない、黒雲母については5000万年から9000万年、角閃石については6000万年から8000万年の年代を得ている。この結果は単純な冷却史モデルでは説明できない。^<40>Ar-^<39>Ar年代測定用試料は、中性子照射に送ってあり、平成10年4月には山形大学で分析が可能になる見込みである。 なお、要求した備品のうち、K測定用の炎光光度計は昨年12月に搬入され、ほぼ調製を終了した。真空ポンプ(ロータリーポンプ+ターボ分子ポンプ)は近日中に搬入される見込みである。
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