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1997 年度 実績報告書

励起有機分子の緩和過程に及ぼす水溶媒の特異的効果

研究課題

研究課題/領域番号 09640594
研究種目

基盤研究(C)

研究機関群馬大学

研究代表者

飛田 成史  群馬大学, 工学部, 助教授 (30164007)

キーワード光イオン化 / 励起状態 / 無輻射過程 / 緩和過程 / 光音響分光法 / レーザー分光法
研究概要

(1)アニリン誘導体の水誘起無輻射失活過程
一連のアニリン誘導体についてシクロヘキサン中及び水中でのけい光寿命及びけい光量子収率を測定した。いくつかの化合物について水中におけるけい光寿命,けい光量子収率がシクロヘキサン中に比べて著しく減少した。ナノ秒レーザー光分解法を用いた過渡吸収測定の結果,けい光量子収率の減少の一部は,一重項非緩和励起状態からの速い光イオン化過程によることが判明した。また,N-H結合を有する化合物において特に大きなけい光寿命の減少が見られたことから,水分子との水素結合相互作用がS_1状態からの無輻射失活過程を誘起していることが明らかになった。水/アセトニトリル,水/ジオキサン混合溶媒中におけるアニリン誘導体のけい光寿命,けい光量子収率測定結果から複数の水分子もしくは水クラスターが無輻射過程に関与していると考えられる。一方,同様の水中における無輻射過程の増大は,ベンゼン,ナフタレンのような水分子と特異的相互作用をしない化合物においても見出された。この水誘起無輻射過程は,主に内部変換速度の増加によることが判明した。
(2)N,N-ジメチル-1-アミノナフタレン類の励起状態緩和過程に及ぼす溶媒効果
水中及び有機溶媒中でのN,N-ジメチル-1-アミノナフタレン類の励起状態緩和過程をけい光分光法,過渡吸収法,時間分解熱レンズ分光法を用いて詳細に検討し,緩和過程に及ぼす溶媒効果の機構を検討した。その結果,水,アセトニトリルのような極性溶媒中では強いけい光が見られ,無極性溶媒中で著しく内部消光する原因は,近接したS_1,S_2状態間の振電相互作用がアミノ基のねじれ運動によって引き起こされるためであることが判明した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] F.Saito, S.Tobita, and H.Shizuka: "Photoionization Mechanism of Aniline Derivatives in Aqueous Solution Studied by Laser Flash Photolysis" J.Photochem.Photobiol.A : Chem.106. 119-126 (1997)

  • [文献書誌] Y.Kimura, M.Yamamoto, S.Tobita, and H, Shizuka: "Kinetic Studies on the 1,2-Sigmatropic Hydrogen Shift in the Photorearranged Intermediate of N-Acetylpyrole : Tunnelling Effects" J.Phys.Chem.A. 101. 459-465 (1997)

  • [文献書誌] K.Suzuki, H.Tanabe, S.Tobita, and H.Shizuka: "Solvent-Dependent Radiationless Transitions of Excited 1-aminonaphthalene Derivatives" J.Phys.Chem.A. 101. 4496-4503 (1997)

  • [文献書誌] M.Moriyama, Y.Kawakami, S.Tobita, and H.Shizuka: "Intramolecular Proton Transfer Cycle of 2,4-Dimethoxy-6-(1-hydroxy-2-naphthyl)-s-triazibe Studied by Laser Photolysis" Chem.Phys.(1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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