研究課題/領域番号 |
09640595
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
岩舘 泰彦 千葉大学, 工学部, 助教授 (80168583)
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研究分担者 |
西山 伸 千葉大学, 工学部, 助手 (90241942)
服部 豪夫 千葉大学, 工学部, 教授 (80009539)
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キーワード | ガラス / 融体 / X線回折 / 動径分布 / ホウ酸塩 / テルル酸塩 / ネットワーク構造 / 錯イオン |
研究概要 |
本研究では、B_2O_3-CaO系ガラス、TeO_2-Li_2O系ガラスおよびNa_3ErCl_6とK_3ErCl_6の2種のイオン性融体のX線回折実験を行い、得られた散乱強度データに通常の補正を加え強度を規格化し、フーリエ変換して動径分布関数を導き、実空間における構造情報を抽出した。最終的にはこの構造情報を初期値として、逆格子空間において強度比較法を用いることにより種々の原子対に対する構造パラメータ(配位数・原子間距離・温度因子)の最適化を行い、これらのガラスや融体の構造を明らかにし、構造に及ぼす修飾酸化物やアルカリ塩化物の添加効果について考察することを目的として実験を行った。 2種の系のガラスおよび2種のイオン性融体は、溶融急冷法により調製した。実空間における動径分布解析法および逆格子空間における強度比較法により、以下のような結果が得られた。(1)B_2O_3ガラスはボロキソル環を構造単位とするネットワーク構造を形成している。(2)これにCaOを添加すると、ボロキソル環の中にそれまで3配位型であったホウ素のほかに4配位型のホウ素が現れる。(3)4配位型のホウ素の出現により、ボロキソル環に歪みが生じ、環の対称性が低下する。(4)B_2O_3ガラスにCaOを添加すると、Ca^<2+>イオンは酸素で構成される8面体型の孔に入り込む。(5)TeO_2Li_2O系ガラスにおいて網目構造を形成する単位としてはTeO_4(三方両錘体)と酸素が3配位したTeO_3(三方錘体)があり、アルカリの増加にともない、TeO_4(三方両錘体)から非架橋酸素を含む多面体を経てTeO_3(三方錘体)へと移行する。(6)ErCl3融体中にはクラスラー化した錯イオンの存在が認められるが、Na_3ErCl_6やK_3ErCl_6融体中ではクラスターが分解することにより単独の八面体型錯イオンErCl_5^<3->として存在している。
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