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1997 年度 実績報告書

有機結晶の低温における相転移に伴う構造変化の研究

研究課題

研究課題/領域番号 09640609
研究種目

基盤研究(C)

研究機関岡山大学

研究代表者

柏野 節夫  岡山大学, 理学部, 教授 (70032810)

研究分担者 久保園 芳博  岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (80221935)
石田 祐之  岡山大学, 理学部, 助教授 (70193331)
キーワード有機結晶 / 相転移 / 構造変化 / 低温X線回折 / 水素結合 / 分子間相互作用
研究概要

相転移温度90Kのクロラニルの結晶構造を150Kから20Kで決定し,カルボニル基間の双極子-双極子相互作用が相転移に重要な役割を果たしていることを報告した。分子間相互作用として,水素結合が重要な役割を果たしていると考えられるアミド類,カルボン酸酸性塩及びヒドロキシピリジン類とカルボン酸との分子間化合物の結晶構造を目的結晶の探索のためにX線回折法により常温で決定し,4種の化合物の結晶構造を論文として報告した。カルボン酸酸性塩のうち,示差熱分析により二次の相転移が見出されたコハク酸水素アンモニウム(1),ビス(ジフロロ酢酸)水素カリウム(2)及びタルトロン酸水素カリウム-水和物(3)の結晶構造を相転移温度の前後で決定した。(1)の結晶中の7種の水素結合の距離は,いずれも相転移の前後で温度依存性が異なるが,最も弱い水素結合の距離が相転移温度以下で短くなるという興味ある結果を得た。(2)の結晶では,ジフロロメチル基の乱れが40Kの低温ではなくなるという結果を得た。相転移に伴う結晶の対称性の変化については,さらに再現性の検討が必要である。(3)の結晶では,カルボキシラート アニオンの関与する2種の非常に短いO-H…O水素結合が見出された。この水素結合距離は295Kと40Kとで実験誤差の範囲内で変化がなく,差のフーリエ合成図の詳細な検討により,これらの水素結合は単一極小ポテンシャルをもっと考えられる。40Kでは295Kに比べ,カリウムイオンと酸素原子との距離及び水分子の関与する水素結合距離が有意に短いが,相転移に特有な構造変化は現段階では見出されていない。このことについては,さらに,検討が必要である。(1)-(3)の結晶についての成果は,日本化学会及び日本結晶学会で口頭発表により報告している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Y.Kubozono: "X-Ray Structure Analyses of Chloranil above and below Phase Transition Temperature" J.Phys.Chem.Solids. 58・9. 1375-1381 (1997)

  • [文献書誌] J.Mizoguchi: "N-(1-Adamantyl)acetamide" Acta Crystallogr.C53・11. IUC9700024 (1997)

  • [文献書誌] T.Yoshida: "Rubidium Hydrogen Bis(dichloroacetate)" Acta Crystallogr.C53・11. IUC9700021 (1997)

  • [文献書誌] S.Kashino: "Methanol-Water Solvate of N-(1-Adamantyl)acetamide" Acta Crystallogr.C54(印刷中). (1998)

  • [文献書誌] J.Taka: "Ammonium Hydrogen Tartronate" Acta Crystallogr.C54(印刷中). (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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