研究概要 |
1mol/kgアルカリブロマイド塩(LiBr,NaBr,KBr,CsBr)水溶液中の水分子のD核および^<17>O核のスピン-格子緩和速度(R_1)を高圧用JEOL JNM GX-270-NMR(基準磁場:6.34T,基準振動数D:41.5MHz,^<17>O:36.6MHz)を用いて、Inversion-recovery法によって、温度30℃、圧力範囲0.1-300MPaまで測定した。その結果、1気圧におけるR_1/R_1^0(R_1^0は純水の値)の値はLiBr>NaBr>1>KBr>CsBrの順となり、Li^+およびNa^+イオン周りの水の緩和速度は水中の水分子よりも大きく、その回転速度は純水中よりも遅く回転している。また、K^+およびCs^+イオン周りの水の回転運動は純水よりも速い。各塩水溶液中の水のD核および^<17>O核のスピン-格子緩和速度は圧力の増加とともに減少し、圧力が高いほど塩によるR_1の変化は減少した。このことより、高圧下におけるスピン-格子緩和速度の減少は、圧力による水の構造の破壊にともなう、水の密度増加により、水和水の回転運動が束縛されたものと考えられる。また、高圧ほどイオンの周りの水のスピン-格子緩和速度差が少ないのは、高圧下における水の構造が顕著に変化したことに由来しているものと結論ずけられる。
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