研究概要 |
まず、アルカリブロマイド(LiBr,NaBr, KBr, CsBr)各水溶液中における水分子(D_2O)のD核および^<17>O核のスピン―格子緩和速度(R_1)を0-1.0molkg^<-1>、10-50 ^0C、0.1-300Mpaにおいて測定した。各温度および各圧力においてD核および^<17>O核のR_1は各水溶液について溶液濃度とともに直線的に変化した。よって、高圧力下においても二状態モデルを用いてR_1の値はバルクの水分子、カチオンおよびアニオンに配位される水分子のR_1の和として表されるものと思われる。得られた直線のかたむきはLiBr>NaBr>KBr>CsBrの順となり、イオン分割によって得られたイオンのB係数はLi^+>Na^+>(0>)K^+>Cs^+の順となった。次に、イオンのB係数から見積もられるアルカリ金属に配位する水分子におけるD核および^<17>O核の回転相関時間(τ)は各温度および各圧力においてLi^+>Na^+>(D_2O>)K^+>Cs^+の順となり、温度および圧力の上昇に伴い減少することが認められた。したがって、アルカリ金属に配位する水分子の回転運動は温度および圧力の上昇に伴い一層顕著になるものと思われ、これは水分子の水素結合が弱められるか歪められることによるものと思われる。τ(D)/τ(^<17>O)の値は各温度および各圧力においてLi^+>Na^+>(D_2O>)K^+>Cs^+の順となり、高圧力下においてもアルカリ金属イオンに依存するものと思われる。さらに、τの圧力依存性から得られる活性化体積の値はLi^+>Na^+>(D_20>)K^+>Cs^+の順となり、温度一定の下では圧力の上昇とともに減少した。τの温度依存性から得られる活性化エネルギーの値はLi^+>Na^+>(D_2O>)K^+>Cs^+の順となり、高圧力下においても温度の上昇とともに減少した。
|