研究概要 |
筆者らはポリマーブレンドの分子間相互作用や相溶性を調べるために,二次元赤外相関分光法,二次元近赤外相関分光法,二次元ラマン相関分光法を用いた。これらの二次元相関分光法を用いることにより,赤外,ラマン,近赤外分光法がもつ情報を十分に引き出すことができるとともにそれらの分光法間の相互の関係も明らかにした。今年度はpolystrene(PS)/poly(2,6-dimethy1-1,4-phenylene ether)(PPE)ブレンドについて上の三つの二次元相関分光法を用いて調べた。その結果,いづれの分光法を用いた場合もPSによるバンドとPPEによるバンドをはっきりと区別することができた。次にブレンド形成にともなうバンドも確認することができた。このようなバンドの帰属やブレンド形成によるバンドの確認には二次元相関分光法がきわめて有効であることがわかった。ブレンド形成によるバンドはすべてフェニル基によるかあるいはメチル基によるバンドに帰属された。したがってブレンド形成にともなう分子間相互作用にはフェニル基同志の相互作用の他にメチル基とフェニル基の相互作用が関係していることが明らかになった。赤外,ラマン,近赤外いずれの分光法も共通してこの結論を支持した。
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