研究概要 |
本研究では、最終段階にDewxベンゼンの異性化を活用する新しいアプローチに基づいて、環状パラフェニレン類、フェニルアセチレンマクロサイクル類、および環状アセンキノン類等のベルト型分子の合成を目指した。 平成10年度は、先に開発したDewarベンゼン型ビルディングブロック、8,10-ジクロロ-3.5-ジオキソビシクロ[5.2.21ウンデカ-8,10-ジエンのアセチレン化合物とのクロスカップリング、末端アセチレンの酸化的カップリングを活用した大環状構造の構築、アセタール基の脱保護、Dewarベンゼン部分の原子価結合異性化によるパラフェニレンユニットの生成の一連の変換によってフェニルアセチレンマクロサイクルが合成できることを明らかにし、この方法論の妥当性を確認した。また、新しいビスジエン型ビルディングブロックとして1.4-アセタール架橋-2,3,5,6-テトラメチレンビシクロ[2,2.0]ヘキサン誘導体を合成し、これがジエノフィルとの二重のDiels-Alder反応によってDewarベンゼン誘導体を与えることを明らかにした。このビスジエンとパラベンソキノンとの繰り返しDiels-Alder反応を環状アセンキノン類合成へ利用することを計画している。
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