研究課題/領域番号 |
09640624
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
石井 昭彦 埼玉大学, 理学部, 助教授 (90193242)
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研究分担者 |
杉原 儀昭 埼玉大学, 理学部, 助手 (00272279)
中山 重蔵 埼玉大学, 理学部, 教授 (90092022)
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キーワード | チオフェントリプチセン / トリプチセン / セレネン酸 / セレノセレニン酸エステル / セレニド / ジメチルジオキシラン / 酸化 / ベータ脱離 |
研究概要 |
チオフェントリプチセンセレネン酸(Thtrip-SeOH)およびトリプチセンセレネン酸(Trip-SeOH)の合成と反応性について検討した。以下、チオフェントリプチシル基をThtrip-、トリプチシル基をTrip-とする。 1. Thtrip-SeOHの合成検討:Thtrip-Se-n-Buをジメチルジオキシランで酸化してThtrip-Se(O)-n-Buとし、これを溶液中室温で撹拌すると、目的としたセレネン酸ではなく、Thtrip-Se(O)Se-Thtripが70%の収率で得られた。Thtrip-Se(O)Se-Thtripの構造は各種スペクトルデータおよび単結晶X線構造解析により決定した。これは次に述べるTrip-Se(O)Se-Tripと同様、セレノセレニン酸エステルとして初めて安定に単離され、構造解析されたものである。 2. Trip-SeOHの合成:Trip-Se-n一Buをジメチルジオキシランで酸化して得られるTrip-Se(O)-n-Buを、ジクロロメタン中室温で撹拌することによりTrip-SeOHを合成することに成功した。Trip-SeOHはシリカゲルカラムで精製することによって単離することができ、単結晶X線構造解析により構造決定した。 3. Trip-SeOHの反応:Trip-SeOHをジクロロメタン還流温度で加熱すると容易に脱水縮合がおこり、Thtrip-Se(O)Se-Thtripがほぼ定量的に生成した。Thtrip-Se(O)Se-Thtripの構造も単結晶X線構造解析により決定した。この脱水二量化反応は酸では加速されなかったが、Trip-SeOHの溶液にトリエチルアミンを加えると速やかに反応がおこり、Thtrip-Se(O)Se-Thtrip、Thtrip-SeSe-Thtrip、およびThtrip-SeO_2HのEt_3N塩がほぼ1:1:1のモル比で生成した。この反応では、いったん生成したThtrip-Se(O)Se-Thtripが塩基性条件下に加水分解されて、Thtrip-SeO_2HとTrip-SeHを生じ、Trip-SeHと系中に残っているTrip-SeOHの反応によりThtrip-SeSe-Thtripが生成したと考えられる。また、Thtrip-Se(O)Se-Thtripをジオキサン中、2M過塩素酸で処理するとほぼ定量的にTrip-SeOHに加水分解された。
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