研究概要 |
生理活性セリン誘導体群を入手容易なグルタミン酸を不斉源として選択的に合成する方法を開発することを目的に、(3R)-5-シロキシ-3-フェニル-1H-ピロロ[1,2-c]オキサゾール(1)の立体選択的アルキル化を検討した。このシロキシピロール1のp-メトキシベンジル化を種々の反応条件で検討したところ、反応は8位で起こったものが確認されたが、いずれの条件でも分解反応を抑えることは出来なかった。このため2,6-ジアミノ-6-ヒドロキシメチルピメリン酸の合成を目指して、マイケル付加様アルキル化を検討した。1とニトロエチレンの反応を行ったところフェニル基と同じ側から反応した生成物が優位に得られた。一方メチルビニルケトンとの反応ではフェニル基と反対側で反応した生成物が優位であった。この選択性の違いを解明するために現在1の3位フェニル基の変わりにパラブロムフェニル基を持つものを合成しX線結晶構造解析と分子軌道計算をアプローチするとともに、ニトロエチレンの反応に置ける選択性の向上を目指して、最適基質の探索を含めた条件の検討を行っている。 α-ホルミルセリン等価体からサーモシモシジン合成を行うために、1のヒドロキシメチル化の条件検討を行ったところ収率40%で目的生成物を得ることができた。しかしながらこの収率ではサーモシモシジン合成を最後まで行えないと判断し、現在はグリセルアルデヒドと1の反応に置ける重複立体選択性について検討している。この反応の立体を制御することによりサーモシモシジンに必要な不斉炭素をすべて導入することが出来る。
|