研究概要 |
光学活性1、2-ジオール、ジアミンおよびアミノアルコールは不斉反応のキラル補助基、配位子として重要な化合物である。アルデヒドやイミン化合物のピナコールカップリングで、それぞれ1、2-ジオール、及びジアミンが得られるが、しかし、本反応ではmeso-体とdl-体の混合物となり、しかもdl-体を光学活性体として合成することが不可能である。本研究では、面不斉を有する遷移金属錯体利用して1、2-ジアミン、ジオール誘導体を始め、隣接位に二つのへテロ原子をもつ化合物を光学活性体として合成できる反応の開発を行った。 クロムトリカルボニル基が配位したベンジル位でのラジカルの立体化学上の安定性を利用して、光学活性オルト置換ベンズアルデヒド、ベンズアルドイミンのクロム錯体をピナコール還元を行い、1,2-ジオール、ジアミンをそれぞれ光学活性体として得た。更に、アレーンクロム錯体以外でも面不斉を有するジエン鉄錯体、フェロセン誘導体にも適用し、隣接位炭素上にヘテロ原子をもつ化合物を光学活性体として合成することができた。 更に、本反応を分子内ピナコールカップリングを行い、環状トランス1、2-ジオール、ジアミン、アミノアルコールを光学活性体として得ることにも成功した。まず、面不斉ハロベンゼンクロム錯体とフェニルホウ酸とのクロスカップリングで、ビアリール化合物を合成し、ついでヨウ化サマリウムで立体選択的還元で目的の1、2-ジヘテロ化合物を光学活性体として得た。
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