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1997 年度 実績報告書

補酵素モデルを用いたC1-単位転移反応のシミュレーションとモデル化合物の構造因子

研究課題

研究課題/領域番号 09640649
研究種目

基盤研究(C)

研究機関早稲田大学

研究代表者

多田 愈  早稲田大学, 理工学部, 教授 (90063651)

キーワード補酵素B_<12> / 補酵素B / 補酵素M / 補酵素F_<430> / テトラヒドロ葉酸 / メチル基転移
研究概要

メタン発生菌によるメタン発生の終盤には次の過程が含まれている。(1)5N-メチルテトラヒドロ葉酸から補酵素Mのチオール基へのメチル基転移、(2)メチル化補酵素Mから補酵素F430へのメチル基転移。
本研究ではこの2つの過程に関与する補酵素群を全てモデル化合物に置き換えて、メチル基転移を起こさせることに初めて成功した。すなわち、テトラヒドロ葉酸のモデルとしてテトラヒドロ-2-ピバロイルアミノプテリジンを、補酵素B12のモデルとしてコバロキシムを、補酵素Mのモデルとしてチオアニソールを、補酵素B(HTP-SH)のモデルとしてチオフェノール類を、さらに補酵素F430のモデルとしてニッケル-Costa錯体を用いた。これらのメチル基転移反応のモデル化に際して、チオフェノール類の活性化様式としてコバルト(III)、ニッケル(II)へ配位させてチオラートコバルト(III)錯体およびチオラート-ニッケル(II)錯体とした。前者は電子移動機構で、また後者はラジカル機構でメチル基受容体として働いた。これらに反応は従来の化学に類例が無く、新しい反応の発見となった。また、この研究に付随してスズコバロキシム等の新しい有機合成試薬を開発することが出来た。
チオラートコバルト錯体はテトラヒドロメチルアンモニウムプテリジンに一電子移動した後、コバロキシム(III)錯体とチイルラジカルを与え、このチイルラジカルがSH2反応でメチル基を攻撃することでメチル基転移が起こることが分かった。また、チオラートニッケル(II)錯体は光分解でニッケル(I)錯体とチイルラジカルを発生し、このチイルラジカルがメチルスルフィドを攻撃してスルフラニルラジカル中間体を与え、ここからラジカル性を持つニッケル(I)錯体がSH2機構でメチル基を受け取る機構である。
このようにして生成したメチル-ニッケル錯体はプロトン性溶媒中速やかにメタンを与えることが出来る。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] M.Toda, Y.Asawa, M.Igarashi: "Synthesis of Pteridine Derivatives Related to Folic Acid and Methanopterin from Pyrazin-2,3-dicarbonitrile" J.Helerocycl.Chem.34. 973-981 (1997)

  • [文献書誌] M.Tada, Y.Masuzawa: "Biomimetic methane generation and disulfide formation by catalysis with a nickel complex." Chem.Commun.2161-2162 (1997)

  • [文献書誌] T.Uetake, M.Nishikawa, M.Tada: "Reactions of the alkyl radical attacked to the ring nitrogen of 2-Phenylthio-indole, -beuzimidazole and-uracil." J.Chem.Soc.Perkin Trans,1. 3591-3596 (1997)

  • [文献書誌] M.Tada, T.Kambe, Y.Inoue: "A biomimetic methyltransfer from amino to thial." Chem.Commun.41-42 (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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